日常動作が痛みを作る?立つ・座る・歩くの落とし穴

 

理学療法士の鈴木です。本日は「日常動作が痛みを作る?立つ・座る・歩くの落とし穴」について解説します。

「特別なことはしていないのに痛い」

そう訴える患者さんは少なくありません。実は、痛みの背景には日常動作の“繰り返し”による負荷の偏りが隠れていることがあります。

今回は、立つ・座る・歩くという基本動作の落とし穴を整理します。

① 立つ:静かに立っていることが負担になる

立位は安定しているように見えますが、実際には抗重力筋が持続的に活動しています。

長時間立位が続くと、

  • 腰部伸展筋の持続収縮

  • 股関節前面への圧縮ストレス

  • 体幹筋の持久力低下

が起こりやすくなります。

さらに、体重を片脚へ偏らせる癖がある場合、骨盤周囲への負荷が慢性的に集中します。

▶︎臨床ポイント

「姿勢を正す」よりも、体重移動や軽い足踏みなどで負荷を分散させる指導が有効です。

② 座る:良い姿勢でも“長すぎる”と問題になる

座位は腰部椎間板内圧が上昇しやすく、長時間持続すると腰痛リスクが高まります。

重要なのは「猫背かどうか」だけではありません。

  • 長時間固定

  • 体幹筋活動の低下

  • 股関節屈曲位の持続

が組み合わさることで、組織耐久性を超えやすくなります。

近年は「最適な座位姿勢」よりも、座位時間の分断が重要とされています。

▶︎臨床ポイント

30〜60分ごとの立ち上がりを具体的に指導します。

③ 歩く:量より“質”が問題になることも

歩行は健康的な運動ですが、以下のような要因があると痛みを助長します。

  • 股関節伸展不足

  • 体幹回旋の減少

  • 過度な防御的収縮

  • 歩幅の過小化

痛みがある状態で歩き続けると、**運動パターンの変化(protective movement pattern)**が固定化し、別部位に負荷が集中することがあります。

▶︎臨床ポイント

歩数だけでなく、歩幅・腕振り・体幹回旋も評価対象にします。

④ 「同じ動作の繰り返し」が耐久性を超える

日常動作は低負荷ですが、回数が膨大です。

低負荷 × 高頻度 = 組織ストレス蓄積

この蓄積が回復能力を上回ると、炎症や痛みとして表面化します。

▶︎臨床ポイント

仕事内容・家事内容など、1日の総負荷量を具体的に把握することが重要です。

⑤ 痛みが動作を変え、さらに痛みを作る

痛みがあると身体は動きを変えます。

この適応は短期的には保護ですが、長期化すると負荷分散が崩れます。

結果として、

痛み → 動作変化 → 負荷集中 → 痛み持続

というループが形成されます。

▶︎臨床ポイント

局所治療だけでなく、動作再学習が必要になる場面があります。

まとめ

立つ・座る・歩くという基本動作でも、

  • 長時間固定

  • 負荷の偏り

  • 運動パターンの変化

  • 回復を超える反復

があれば、痛みの原因になり得ます。

重要なのは「特別な動作を避けること」ではなく、

負荷を分散し、回復できる範囲に保つことです。

日常動作こそ、最大のリハビリであり、最大の負荷源にもなります

 

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