痛みを我慢し続けると体はどう変わるのか

鈴木11

理学療法士の鈴木です。本日は「痛みを我慢し続けると体はどう変わるのか」について、解説します。

「このくらいなら我慢できます」

臨床ではよく聞く言葉ですが、痛みを長期間我慢しながら生活していると、身体にはさまざまな適応変化が起こります。そしてその変化が、結果として痛みの慢性化や機能低下につながることがあります。

① 動き方(運動パターン)が変わる

痛みがあると、身体は無意識にその部位をかばうように動きます。

この代償動作が長期間続くと、

  • 特定部位への負荷集中

  • 関節運動の偏り

  • 非効率な動作パターンの固定化

が起こり、新たな部位の痛みを引き起こすことがあります。

▶︎臨床ポイント

「原因部位」だけでなく、動作全体の変化を評価することが重要です。

② 筋力・持久力が低下する

痛みを避ける生活が続くと活動量が低下し、

  • 筋出力低下

  • 持久力低下

  • 組織耐久性低下

が進みます。

その結果、以前は問題なかった日常動作でも痛みが出やすくなり、さらに活動量が減るという悪循環が形成されます。

▶︎臨床ポイント

疼痛軽減と同時に、安全な範囲で活動量を維持・回復させる介入が必要です。

③ 神経系が「痛みを感じやすい状態」に変化する

痛み刺激が長期間続くと、神経系は感受性を高める方向に変化します(中枢性感作)。

その結果、

  • 軽い刺激でも痛みを感じる

  • 痛みの範囲が広がる

  • 痛みが長引く

といった状態が生じます。

▶︎臨床ポイント

慢性疼痛では、組織損傷の程度だけでは症状を説明できないケースが多く見られます。

④ 心理面にも影響が出る

痛みを我慢し続ける生活は、

  • 動作への恐怖

  • 活動回避

  • 自己効力感の低下

を引き起こします。

この恐怖回避思考は、慢性疼痛の予後を左右する重要な因子とされています。

▶︎臨床ポイント

「どの動きが怖いか」「何を避けているか」を評価することが改善の鍵になります。

⑤ 回復のタイミングを逃しやすくなる

痛みを我慢し続けると、適切な時期に治療や運動介入を行う機会を逃し、

  • 機能低下の進行

  • 代償パターンの固定化

  • 慢性疼痛への移行

が起こりやすくなります。

▶︎臨床ポイント

「我慢できる痛み」でも、生活や動作に影響が出ている場合は早期介入が重要です。

まとめ

痛みを我慢し続けると、

  • 動作パターン変化

  • 筋力・耐久性低下

  • 神経系感作

  • 恐怖回避形成

といった変化が連鎖的に起こり、症状が長期化しやすくなります。

重要なのは「痛みを完全にゼロにしてから動く」ことではなく、

安全な範囲で動きながら回復を促すことです。

 

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